街の印刷屋 天啓 presents...






チラシ デザインのツボ

◆ 最近はお客様自らがofficeソフトなどを使用してデザインを持ち込まれることも増えてきました。
この場合でも、デザインの基本に沿って工夫することで、より良いチラシとすることができます。弊社ではそのようなご相談も承っております。
次の例で説明いたします。

A案(お客様の原案) (グレーの輪郭はダミー枠で、デザインには含まれていません)

1.タイトルを分かりやすく

 「天理大学」、「柔道&ラグビー」、「公開練習」、「大野・立川両選手監修」というポイントが一目で認識されるようなデザインにしなければなりません。色相では、「赤」はめだつと思われがちですが、背景とのコントラストが問題です。コントラスト比が小さいと分かりにくくなります。いったんグレースケールに変換してみるとコントラスト比の問題点が分かりやすくなります。 また、文字イラストを斜めにしたり、遠近感をつける処理は、レイアウト上はっきりとした効果を狙うのでなければ止めたほうがいいです。(後述のアイフローとも関係します)少し離れて見て、確認するのがいいでしょう。

2.基本情報をはっきりと

 今回のイベントの目的と特色、日時、場所、主催者、協賛者、連絡先などの基本情報は下部に分かりやすくレイアウトするのが大切です。むしろこの部分からレイアウトを考えていくのが正しい手順であり、余ったスペースに埋め込むような手法は避けねばなりません。 下部にスッキリとした情報のまとまりのレイアウトがあるからこそ、上部のスピード感や 力強さなどの感性に訴える写真やイラストが生きてくるのです。

3.分けること、まとめること

 この二つは互いに関連しており、伝えたい情報を分かりやすく伝達するする上で重要な概念です。この例では、「公開練習」には「柔道」と「ラグビー」がある事、これは分ける(分類する)事になりますが、また「公開練習」という概念でくくる(まとめる)ことが出来ます。また、「世界に誇る天理スポーツを体感」、「どなたでも参加OK」、「選手とも触れ合える」という項目は別々のことを言っているという点で分けられますが、キャッチコピーであるという点ではまとめられます。 伝えたい情報の論理構造を送り手がまず整理したうえで、これらの構造が一目でわかるようにデザインの工夫をすることが大切です。

4.写真の重要性

 写真はコンセプトや雰囲気を伝えるための非常に重要な役割を担っています。人物を紹介するとき、顔写真があれば、一目で相手を引き込むことができます。そのため、人物であれば顔をメインにしたトリミングをするとか、スポーツのシーンであれば、周りのイラストや背景に埋没してしまわないよう、 印象的なシーンに絞ったトリミングをしたり、トーンカーブを調節したり、あるいは白い枠を使用して写真を浮き立たせたりといった処理が必要になってきます。また、個々の写真の大きさ、形を揃えることも大切です。

5.カラーコーディネート

 チラシの内容に合ったカラーコーディネートをすることが大切です。それと同時に、使用する写真に含まれている色からくる雰囲気も考えてその他の部分の 配色も決定していかねばなりません。
 この例の場合、柔道の写真では道場の畳からの黄色系のイメージ、ラグビーの写真では芝からくる緑系のイメージが強いですが、テーマの性質から両者は どちらかがより目立つのではなく等しい面積を持っていることが望ましいと考えられます。これに加えて天理スポーツのテーマカラーである 紫系を中心にして統一感をも持たせ、赤、黄の強調色でアイフローの誘導を誘います。
 補色を使うことでスポーツの緊張感を表現しつつ、彩度を加減することで情報そのものの邪魔にならないよう調節します。

6.一貫性のあるレイアウト

 チラシというのは時間的情報を平面的(空間的)情報に展開したものであると言えます。受け手はチラシの中に展開されている情報を見て時間的情報を頭の中に再構築するのですが、 この際、ヒトの中では並列的情報処理と直列的情報処理が同時に行われています。パッと見て分かるのは並列処理であり、一文字づつ読み取って分かっていくようなものが 直列処理だと言えます。新聞の編集で禁じ手といわれる「胴切り」、すなわち横一文字で上下に裁ち分かれているレイアウトや、四角のエリアがきっちり並んだレイアウトがよくないのは、 ヒトの情報処理という観点でいえば、効率の良い並列的情報処理を無意識レベルで、あるいは知覚レベルで遮断してしまい、効率的、直感的な情報伝達を阻害するからなのです。
 要は受け手の視覚や認識といった情報処理になるべく負担をかけないことようなレイアウトが大切ということです。やたら情報を並べ立てたり、目立つことだけを考えてデザインすると、学校や地域の掲示板、 あるいは国道○○号沿線の看板群の景観を想起させるようなものになってしまい、大切な情報も読み飛ばされる危険性があります。 ZやN型のアイフロー(チラシを見た時の目の軌跡)を形成するようなレイアウトにするのも、受け手に無理なく時間的情報を再構築してもらうためです。 どうしても横一列のレイアウトをとらなければならないようなときは、横の線を意識させないようにグラデーションをかけたり、並んだ四角や丸のエリアをずらし込むなどの 工夫が必要となります。 四角や丸で囲まれた文章や画像をうまく並べてアイフローを誘導するように工夫することもできます。
 伝えたい相手に伝えたい情報をうまく伝えるには、チラシという空間情報の持つ利点を上手に利用し、その隅から隅まで目的に沿った一貫性のあるレイアウトにすることが大切なのです。


以上のようなことからご相談して弊社が提案させていただいたのが、次のようなものです。

B案(弊社ご提案) (グレーの輪郭はダミー枠で、デザインには含まれていません)


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